あまり楽しい話ではありませんが、最近は離婚する家庭が増えています。
平成27年度の厚生労働省の報告では、婚姻数63.5万件に対し、離婚数2.5万件と単純に考えて結婚した方の約35%の方々が離婚している計算になります。
では、離婚に伴って財産分与をする際、元配偶者へ移転する財産は贈与税の対象となるのでしょうか?
まず財産分与ということですが、財産分与とみなされるのは次の3つになります。
①夫婦が共同で築いた財産の清算の部分
結婚してから夫婦でためた預金、購入した家財道具、マイホーム等
②離婚した配偶者への将来の扶養料部分
将来受け取る年金等
③慰謝料
心の痛手に対する損害賠償金
です。ただし現実的に、何がどれと区分できるわけではないので、渾然一体となって解釈されることが多いです。
この財産分与に該当するものついては贈与には該当しませんのでご安心ください。
ただ財産分与される額が、それまでの財産形成における夫婦の協力度合いなどの事情を考えて多すぎる場合は、その多すぎる部分に贈与税がかかります。
例えば、夫が身を粉にして稼いだ給料を、一方で妻が散財していたとします。にもかかわらず離婚時に妻が預金のすべてをもらうとすれば、それは客観的に見てもらいすぎということになりますので、もらいすぎの部分が贈与とみなされて贈与税がかかります。
もし贈与税がかからないということであれば、もしかして所得税がかかるのでは?と思う方もいると思いますが、実は所得税もかかりません。
やはり離婚というのはお互いに精神的にこたえるものです。そういった精神的な打撃を受けた代償として受け取る意味合いもありますので何の課税もされません。
まとめますと、『離婚にともなう財産分与に対して、基本的には贈与税はかからない』というのが結論です。
ただし、不動産や有価証券などの含み益を財産分与した場合は、譲渡税の対象となりますので注意が必要になります。
また念の為にいいますが、贈与税がかからないことを利用して、「偽装離婚」みたいなことをして、財産分与と証して多額の金額を配偶者に渡すような行為は、贈与税の対象となりますし、悪質な行為としてペナルティが貸せられる可能性もありますので注意してください。